技術資料 液体編 2

面積流量計 液体流量の補正−2 (質量流量の場合)                                        戻る

    液体用流量計では流体の設計仕様密度と実際に流れる
    流体密度が異なる場合は流量の補正が必要です。
    設計仕様:流体密度1000kg/m3、最大流量値 800kg/h(質量流量単位)
    実際に流れている流体密度900kg/m3
    現在の指示値400kg/hの場合(粘度は共に1.0cPとする:注記1参照)
    フロート材質:SUS304(等価密度7900kg/m3)とする。

  ※ 液体用面積流量計では設計仕様と異なる条件で流れた場合には流量の補正
    が必要です、異なる条件とは「流体密度」、「流体粘度」です。

面積流量計の補正式 液体用 (質量流量の場合)  


 

上記式に数値を代入して計算すると
W1:実流量(補正後の流量) 質量流量 kg/h
W0:目盛読み流量 質量流量 kg/h
ρ1:異なる流体の密度 kg/m3
ρ0:目盛記載の流体の密度 kg/m3
ρf :フロートの等価密度 kg/m3
目盛記載の流体の密度 ρ0 1000 (kg/m3)
異なる流体の密度     ρ1 900  (kg/m3)
ρf :フロートの等価密度 7900 (kg/m3)
補正係数 0.955
目盛最大値 800  (kg/h)
目盛の読み値 400  (kg/h)
実流量(補正後の流量) 382 (kg/h)
誤差 % F.S. フルスケール -2.25  % F.S.
誤差 % R.S. リーディング -4.71  % R.S.

 流体密度1000kg/m3を1.0g/cm3として計算しても同じです。
 異なる流体の密度900kg/m3は0.9g/cm3となります。
 この場合はフロートの等価密度は7.9g/cm3となります。
 また、流量単位はkg/min 、g/h 、t/h 、t/min でも質量流量
 であれば同じです。
 

 補正の説明:上式のW0×の右側の式部分を「補正係数」と呼び「流量読み値」に
 補正係数を乗じた値が実流量(真流量)となります。
 上の場合では目盛の読み 400に 0.955 を乗じた 382kg/hが実流量となります。
 

注意1. 上記の補正係数は使用している流量計の使用条件が異なる場合に実際(真値)の流量
     を求める計算の係数を表しています。試験成績書の補正係数 R とは意味が異なります。


注記2.面積流量計では粘度の影響を受けるために粘度が異なる場合は流量精度
     に影響しますが、粘度の要因は計算式で現せないために「同粘度流量試験」が必要です。




上記例の計算式:エクセルはこちらよりダウンロードできます→ エクセル計算式



 

フロートの材質と等価密度または比重
材質 等価密度(g/cm3) 比重
SUS304 7.9 7.9
SUS316 7.9 7.9
Al 2.7 2.7
Ni 8.8 8.8
タンタル 16.64 16.64
ガラス 2.7 2.7
ハステロイB 9.24 9.24
ハステロイC 8.94 8.94
ジルコニウム 6.5 6.5
チタン 4.5 4.5
エボナイト 1.2 1.2
カーボン 1.5 1.5
ルビー 3.9 3.9
PVC 1.465 1.465
H.T.PVC 1.64 1.64
PTFE 2.14 2.14
ルーロン 2.3 2.3
PP 0.9 0.9
上記材質は物質単体の密度です、樹脂フロートなどでは
重量調整の目的で内部に金属を封入する場合などがありますので
物質単体の密度と異なる場合がありますのでご注意下さい。
このため、等価密度と表現しております。


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