技術資料 タービンメータ編1. 流量補正

戻る

「タービンメータ 気体の流量補正」

設計仕様と異なる「気体密度」で操業している場合は流量の補正が必要です。

3−1. 気体  (流量表示が質量流量の場合)  例 : kg/h


 

W1:実流量(補正後の真流量) 質量流量 kg/h        :単位は任意
W0:タービン指示流量 質量流量 kg/h    :単位は任意
ρ1:操業状態気体の密度(ロー1) kg/m3(op)
ρ0:設計仕様気体の密度(ロー0) kg/m3(op)

ρ1、ρ0 の気体密度はオペレーション気体密度とします。
流量計仕様の気体密度がオペレーション密度で示されている場合です。
質量流量単位は g/min  kg/min  など任意です。

例2.
設計仕様が ガス 2.5kg/m3(op)  最大流量 200 kg/h
実際の操業が ガス 3.0kg/m3(op) で流量指示が100kg/h の場合 。


    W1  = W0 × ρ1 /ρ0
     =   100 ×  3.0/2.5
     =   100  ×  1.2
           =  120  (kg/h)  

  器差=(指示流量−実流量)/指示流量 ×100 %

(器差計算は JIS Z 8765-2002 による)

W % タービン指示流量 W0 実流量 W1 器差 %RD
100 200 240 -20.0
90 180 216 -20.0
80 160 192 -20.0
70 140 168 -20.0
60 120 144 -20.0
50 100 120 -20.0
40 80 96 -20.0
30 60 72 -20.0
20 40 48 -20.0
10 20 24 -20.0
5 10 12 -20.0
0 0 0.0 0.000
   
解説 タービンメータは推測式体積流量計の一種です、これはある体積が通過するときにタービン
の羽根が何回転するかをあらかじめ知っておき、実際の測定時には羽根が何回転したから
いくらの体積が流れたと推測しています。
実際の操業の気体の体積が設計仕様と同じでも流体密度が異なると流量表示
が質量流量の場合には流量の補正が必要になるわけです。
上の計算式の補正係数は、操業状態の気体の密度の比を係数値で表していると云え1を超えて
いる場合は重い気体密度、1より小さい場合は軽い気体密度、そして1との差が大きいほど
設計仕様流量に対する器差(誤差)が大きくなります。
 




3−2. 気体  (流量表示が体積流量の場合)  例 : m3/h(op)
 

Q1:実流量(補正後の真流量) 体積流量 m3/h(op)        :単位は任意
Q0:タービン指示流量 体積流量 m3/h(op)    :単位は任意
ρ1:操業状態気体の密度(ロー1) kg/m3(op)
ρ0:設計仕様気体の密度(ロー0) kg/m3(op)


3−1.で質量流量の場合を補正しましたが、質量流量と体積流量の関係は

W = Q × ρ   W:質量流量 kg/h  Q:体積流量 m3/h(op)  ρ:気体密度 kg/m3  

ですので

W1 = W0 ×  ρ1/ρ0

Q1×ρ1 = Q0×ρ0 × ρ1/ρ0

Q1    = Q0×ρ0/ρ1 × ρ1/ρ0

Q1    = Q0


よって、Q1 は 常に Q0 に等しくなります。


タービンメータの気体流量を m3/h(op)   L/min(op)  などの、操業時の体積流量
で表す場合は、気体密度が変化しても流量の補正は必要ありません。

圧力が変化して流れている気体の密度が変化しても、タービンメータの出力信号
は変化しません。


ただし、上の補正では気体の粘度変化は考慮されていません。気体の粘度が変化すると
タービンメータの出力は変化しますが、計算では補正できまん。
気体の粘度は温度変化によって生じますので、正確な補正は実流量(実粘度)での校正
が必要になります。






     戻る                          流体工業株式会社