差圧流量計編1. 気体流量の補正

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差圧(オリフィス)流量計 気体の場合の流量補正

差圧流量計 気体流量の補正  1-1.

流量計目盛 m3/h(ntp)    気体密度  kg/m3(ntp)

気体用差圧流量計で設計仕様 流体 Air  圧力が 500kPa(G) 、温度が 20℃ で製作されているが実際に流れている流体が二酸化炭素、圧力が 200kPa(G)、温度が 40℃ のように、実際に流れている仕様が設計仕様と異なる場合は流量の補正が必要です。

例: Air  密度 1.293 kg/m3(ntp)、最大流量値 2000m3/h(ntp)、設計仕様 圧力500kPa(G)、温度 20℃
   実際の使用条件:圧力 200kPa(G) 、温度 40℃、流体が二酸化炭素 密度 1.977kg/m3(ntp)
   流量指示値 1200m3/h(ntp) の場合

※ 差圧(オリフィス)流量計では設計仕様と異なる条件で流れた場合には流量の補正が必要です、異なる条件とは「異なる流体の密度」、「圧力」、「温度」です。

差圧流量計の補正式 気体用 SI単位   補正式 1-1
気体の流量補正式
Q1:実流量 (補正後の流量) 体積流量
m3/h(ntp) or
L/min(ntp)  など
Q0:流量指示値 体積流量
m3/h(ntp) or  L/min(ntp) など
ρ1:異なる気体の密度(実際の操業気体密度) kg/m3(ntp)
ρ0:設計仕様の気体の密度 kg/m3(ntp)
P1:異なる圧力(実際の操業圧力) kPa(G) キロパスカル
P0:設計仕様の圧力 kPa(G) キロパスカル
T1:異なる温度(実際の操業温度)
T0:設計仕様の温度
上記式に数値を代入して計算すると  
設計仕様の気体の密度 ρ0 1.293 kg/m3(ntp)
異なる気体の密度     ρ1 1.977 kg/m3(ntp)
設計仕様の圧力      P0 500
異なる圧力          P1 200
設計仕様の温度      T0 20
異なる温度          T1 40
設計仕様の気体密度 7.151 kg/m3(op)
異なる圧力での気体密度 5.129 kg/m3(op)
補正係数 0.554
最大流量値 2000
流量指示値 1200
実流量(補正後の流量) 665 m3/h(ntp)
誤差率 % F.S. フルスケール 26.75 % F.S.

*  (ntp)とはノルマル状態と云い
  0℃、0Pa(G)=1atmの状態での気体の体積。
  (OP)とはオペレーション状態を云い
  操業状態の温度、圧力での気体の体積。

kPa(G)は大気圧基準を表す。

補正の説明:上式のQ0×の右側の式部分を「補正係数」と呼び「流量指示値」に乗じた値が実流量となります。

 

上の場合では流量指示値 1200 に 0.554 を乗じた、665 が実流量となります。

設計仕様流体と実際の使用している流体が同じ場合は、ρ0=ρ1 となり第3項式は1となります。

設計仕様の圧力がkPa(G)以外の場合は kPa(G) に換算して上式に代入してください。

差圧流量計での流量指示値とはオリフィスでの発生した差圧を開平演算した結果を流量指示計などへ表示または4~20mADC出力した電流値を云います。

分流式差圧流量計(オリフロメータ)などのように、本管オリフィス部と流量指示部間の距離が大きい場合に本管オリフィス部と流量指示部の温度差が大きいと上の補正方法は適用できません。

本管オリフィス部と流量指示部の温度差が発生しないよう断熱処置など施工してください。

上記例の計算式:エクセルはこちらよりダウンロードできます→ エクセル計算式

流量補正式の導き

差圧流量計の原理を簡単に式で表すと Q=AαC*(2ρΔP)^0.5 で表され流体密度ローρが変化すると流量Qは変化することが判ります。

これはベルヌーイの定理によって表される一定の関係があり流量は差圧と密度の平方根に比例します。

この場合の流体密度が変化するとは、温度と圧力が変化した場合と流体そのものが異なる場合も含まれます。

この流体密度の変化をボイル・シャルルの法則から絶対圧力、絶対温度で表したのが上の補正式となります。

√(平方根)が算出できる関数電卓をお持ちで無い場合はWindows のスタート→すべてのプログラム→アクセサリ→電卓よりsqrt を用いて計算できます。

√が付いた電卓は100円ショップでも販売されていますね。

ルート付き電卓 ダイソー \100

注意1. 上記の補正係数は使用している流量計の使用条件が異なる場合に実際(真値)の流量を求める計算の係数を表しています。

体積流量、容積流量は同じ意味を表しています、本サイト、カタログ、資料などにて体積流量、容積流量の用語が使われていても意味は同じと解釈してください。